今回は、仁義無きジャマイカンギャングスター小説「ヤーディ」をpickup!
ジャマイカからロンドンへ渡り、すったもんだしながら 成り上がるヤーディ(ジャマイカ人)の姿を描いた本作、 読み終わって一番最初に思ったことは、
「自分はこの物語にどれくらい共感できただろうか?」
という疑問でした。
普通、仁義なき戦い系の本を読んだ後って、 主人公になりきり肩で風切って歩きたくなるものですが、 僕はそんな気分になりませんでした。
理由は、「ドラッグを使って成り上がる」という要素がすごーく強く、なんというか、「おなか一杯」になっちゃったんです。
ここに、最初の疑問のポイントがありそうです。
全身に血がめぐるのをふつふつと感じる予感のするあなた。 生まれた場所と時間によっては、ギャングスターとして成功するかも知れません。
ちょっと引いちゃう予感のするあなた。 僕たちギャングスターにはなれなさそうです。違う道探しましょう。
要は、この小説に感情移入できるかどうかは、 自分の中にどれだけギャングスターの成分があるかってことですね。
「じゃあ、見どころなかったの?」と言われれば答えはノー。
例えば、「ジャマイカの性」でもご紹介した 「ジャマイカの男性像」がここでも炸裂。 とっかえひっかえ彼女替えるわ、それが普通な感じで描かれるのがすごい。
日本的な任侠物語の「義理人情」に当たる部分が、
この小説では「愛情」なんですね。
作品の中でも、異性への愛はもちろん
子どもへの愛、兄弟への愛、家族への愛と、「愛」がよく出てきます。
あと、ゲットーのスーパーマンの活躍を見る爽快感。 やっぱりギャングスター小説の醍醐味です。
そして、なんだかんだいっても後引く読後感。どこかの街の、あやしーい路地裏に迷い込んでしまったときに感じる高揚感。そんな熱にうなされる感覚が、この本にはあります。
オリジナルの出版は1993年。本作その後シリーズ化されているらしく、 続編の日本語化も待たれます。
夏本番前この季節、公園で本作読みながら 「ギャングスターの生きる道」に思いをめぐらせてみては?
<text:tooyoo>
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